40人が本棚に入れています
本棚に追加
「最低」
胸の奥から湧きあがった言葉をそのまま男へ投げかけた。
趣味は自分が楽しめばいいものだ。
他人を巻き込みその人生を狂わせるものじゃない。
「だって現実の女なんて……!」
更に言いわけを続けようとする男に、愛由が手に力を込めた。
愛由の指が男の首にギリギリと食い込んで行くのがわかる。
男は白目をむき、失禁をして気を失った。
愛由がそれを見て手の力を緩めた。
男は自分の尿の中に倒れ込む。
しかしまだ息はあるようで、胸は上下に動いていた。
「いいの?」
あたしは愛由へ向けてそう聞いた。
「あたしはこの男と同じ殺人犯にはならない」
愛由はキッパリとそう言いきった。
そして、その場に膝をつき大の字に横になる。
その顔はとても穏やかで、今にも眠っていまいそうに見えた。
「俺は警察を呼べばいいんだね?」
野田さんが愛由に確認した。
最初のコメントを投稿しよう!