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☆☆☆
ともあれ、あたしたちのグループで赤点を取った生徒はいなくて晴れて夏休みへと突入した。
元気のなかった京馬は愛由の死体が発見されてから何か吹っ切れた様子で、元通り秀悟とバカを言い合うようになっていた。
それは無理をしているようには見えなくて、
「何かあったの?」
と、聞いてみると
「愛由が死体で見つかる前、俺のところへ来てくれたんだ。元気出さなきゃダメだよって……。あいつらしいよなぁ。自分のことより俺の心配してるんだから
」京馬はそう言って笑った。
「夢枕……」
「は?」
「ううん、なんでもない」
あたしは笑顔で左右に首をふった。
愛由は今度こそ、綺麗な姿で京馬の夢枕に立ったのだろう。
最後に京馬に綺麗な姿を見せる事ができて、愛由はきっと喜んでいるだろう。
「麻葉と秀悟は夏休み中どうするの?」
5人で肩を並べて廊下を歩きながら、あたしはそう聞いた。
「俺は京馬とキャンプ!」
秀悟がすぐにそう返事をして拳を突き上げる。
「麻葉は?」
「あたしはアルバイト」
麻葉はそう言い、ほほ笑んだ。
麻葉は両親がいなくて親戚の家に預けられているので、後ろめたさから高校入学と同時にアルバイトを始めて、家にお金を入れているのだ。
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