第1章

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☆☆☆ 昼食は近くのデパートでとることになった。 お店のトラックは前後左右に激しく揺れて、冷暖房もきかず今にも壊れてしまいそうな状態で、いつ車が壊れて炎上してしまうんじゃないかと冷や冷やした。 それでもどうにか車で20分ほどの目的地に到着して、あたしはホッと胸をなで下ろした。 「ここまであたしの命が保たれた事を感謝します」 車をおりて天に向けて感謝をささげたくなる気持ちは、野田さんのトラックに乗った者でしかわからない。 「ここの弁当がうまいんだよ」 あたしの気持ちなんて梅雨知らず、野田さんはそう言いながら食料品売り場へと向かった。 デパートの中にある飲食店で食べるのだと思い込んでいたあたしは、目の前にずらりと並ぶお弁当にめまいを起こしそうだった。 『今日は俺が奢ってあげるよ』 なんてカッコいい事を言っておいて500円のお弁当ですか。 そうですか。 奢ってもらう立場のあたしが文句を言うつもりはないですが、それってどうなんですか。
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