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☆☆☆
愛由が見つかったことで、あたしたちの関係はより深いものになっている気がする。
大切なものを失う事で、目の前にある大切なものをより大切にしたいという気持ちになる。
人間の愚かな部分だけれど、大切なものに気が付けたあたしたちは幸せだと言えるだろう。
あたしたちはそれぞれの家へと帰るため、バラバラの道を歩き始めた。
みんなに手を振って自分の道を見た時、不意に高校を卒業したらみんな別々の進路をたどるのかもしれない。
という思いがよぎった。
まだ高校1年生の夏。
それでも3年間なんてあっという間に過ぎていくだろう。
あたしは一歩一歩を踏みしめるように歩いていた。
この道を歩けるのはあと何回?
そんな事を考えると、通学路さえ愛しい。
「マオリ!」
突然後ろから声をかけられて、あたしは飛び上がるほど驚いた。
振り向くと麻葉が走って来るのが見えてあたしは立ち止まった。
「麻葉、どうしたの?」
「たまには遠回りして帰ろうと思って」
麻葉そう言い、ほほ笑む。
それにしては息を切らして走ってきたようで、あたしは疑いの目を麻葉へ向けた。
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