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すると麻葉はすぐに眉をさげて「ごめん、嘘ついた」と、言った。
「どうかしたの?」
「なんだか、このまま別々に帰るのがもったいなくなっちゃって」
麻葉はそう言い、頬を赤らめた。
あたしも丁度同じような事を考えていたところなので、驚いて目を見開いた。
「しばらく会えなくなっちゃうもんね」
「うん。あたし今日はバイト休みだから、マオリの家にお邪魔しちゃおうかな」
「そうなんだ? うちは全然大丈夫だよ」
そう返事をした時「2人だけずるぅい!」と言う声が聞こえてきて、あたしと麻葉は同時に振り向いた。
するとそこには茜と秀悟と京馬が並んで立っていたのだ。
「みんな、どうしたの!?」
あたしと麻葉は驚いてそう聞く。
「あたしたちも麻葉と同じ理由。このまま帰るのがもったいないから!」
茜はそう言い、あたしに抱き着いてきた。
茜の体を咄嗟に受け止める事ができず、体のバランスが崩れる。
それを見て慌てて麻葉が手を差し伸べてきた。
その状態で、あたしの視界には空が写っていた。
どこまでも続く、雲1つない空。
「あたしたちは大丈夫か……」
高校を卒業して別々の道を歩いても、きっとまためぐり合う。
そんな気がして、フッと頬を緩めたのだった。
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