第4話

10/84
前へ
/250ページ
次へ
すると麻葉はすぐに眉をさげて「ごめん、嘘ついた」と、言った。 「どうかしたの?」 「なんだか、このまま別々に帰るのがもったいなくなっちゃって」 麻葉はそう言い、頬を赤らめた。 あたしも丁度同じような事を考えていたところなので、驚いて目を見開いた。 「しばらく会えなくなっちゃうもんね」 「うん。あたし今日はバイト休みだから、マオリの家にお邪魔しちゃおうかな」 「そうなんだ? うちは全然大丈夫だよ」 そう返事をした時「2人だけずるぅい!」と言う声が聞こえてきて、あたしと麻葉は同時に振り向いた。 するとそこには茜と秀悟と京馬が並んで立っていたのだ。 「みんな、どうしたの!?」 あたしと麻葉は驚いてそう聞く。 「あたしたちも麻葉と同じ理由。このまま帰るのがもったいないから!」 茜はそう言い、あたしに抱き着いてきた。 茜の体を咄嗟に受け止める事ができず、体のバランスが崩れる。 それを見て慌てて麻葉が手を差し伸べてきた。 その状態で、あたしの視界には空が写っていた。 どこまでも続く、雲1つない空。 「あたしたちは大丈夫か……」 高校を卒業して別々の道を歩いても、きっとまためぐり合う。 そんな気がして、フッと頬を緩めたのだった。
/250ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加