第4話

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夏休みに入って初めの1日。 課題ある程度進めたあたしは、やることもないのでここへ来ていた。 運よく仕事があればと思ったのだが、事務所内は清潔さを保たれていたし、『返す』仕事も来ていないようで、仕方なくこうして野田さんとかき氷を食べる事になってしまった。 仕事がないなら帰ればいいのだけれど、太陽にやけたアスファルトを見ると外へ出る気力が失せてしまう。 「野田さん、やっぱりエアコンを付けますよ」 かき氷を食べ終えればすぐに熱が体を覆ってくる。 あたしは額の汗をぬぐいながらリモコンに手を伸ばした。 「やめろ!」 野田さんがそう言い、手を伸ばす。 持っていたリモコンは野田さんの手によって弾き飛ばされ、床に落ちた。 その瞬間、ボタンが床に当たったのかピッと機械音がしてエアコンは動き始めた。 「もう、なにしてるんですか」 あたしは身をかがめてリモコンを取った……その時だった。 とてつもない悪臭がエアコンを通して室内へ入ってきたのだ。 それは生ごみを寄せ集めたような、カビ臭いような、さまざまなにおいが入り混じっていて、一瞬にして吐き気を感じた。
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