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「リモコンを貸せ!」
野田さんはあたしの手からリモコンを奪い取ると、スイッチを切った。
涼しくて臭い風がやんでも、事務所の中はムワッとした悪臭に包まれている。
たまらず、あたしはドアを開け放した。
「これは一体なんなんですか!?」
手で鼻を押さえてそう聞くと、「これはこの前拾って来たエアコンなんだ」と、野田さんは言った。
いい物を拾って来たと思ったけれど、使ってみると悪臭がひどい。
使っているうちにマシになって来るんじゃないかと思っていたのだが、それは日に日に悪化していっているようなのだと、野田さんは説明した。
「それで、前まで使っていたエアコンはどうしたんですか?」
「あれは捨てた」
「はぁ!?」
「壊れて、全く動かなくなったんだ」
野田さんが当たり前のようにそう言ったので、あたしは目をパチクリさせた。
ゴミ捨て場から何でもかんでも拾ってくるくせに、壊れた家電はすぐに捨てる。
野田さんのこだわりが一体なんなのかわからなくなってきた。
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