第4話

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「エアコン、切りましたよね?」 「あぁ」 野田さんは頷く。 「じゃぁ、なんでこんなに涼しい風が……」 そう言っている間にもどんどん事務所の中は気温が下がっていき、あたしは軽く身震いをした。 外は灼熱だというのに、これは一体どういう事? 「あのエアコンには女の幽霊がとりついていたんだ」 「女の幽霊?」 あたしは目を丸くして聞き返した。 事務所内へ向かって息を吐き出すと、その息は白いモヤとなって消えて行った。 異常な寒さだ。 これじゃまるで真冬と変わらない。 「エアコンを使う事によって女の幽霊は目覚める。だから空気は冷たくなる」 「幽霊のせいで気温が下がって行くのはわかりました。どうしてエアコンにとりついているのかが疑問のままです」 「それは俺にもわからない」 野田さんは何食わぬ顔をしてそう言った。
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