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「もしかして、あの悪臭も幽霊の仕業ですか?」
「おそらく、自分がここにいると言う事をアピールしているんだろうな」
野田さんはあたしの言葉に頷いてそう言った。
幽霊つきのエアコンなんて余計に使えない。
「捨てましょう」
「それはできない」
「どうしてですか?」
「幽霊は幽霊の見える俺と一緒にいたいようなんだ」
野田さんはそう言い、エアコンを見上げた。
あたしも同じように見てみたけれど、そこには何も見えなかった。
「あたしには何も見えません」
「あぁ。マオリちゃんには姿は見えないだろうな。そのかわり匂いと冷気で感じ取らせようとしている」
「エアコンは捨てないということは、女性を成仏させてあげるってことですか?」
あたしが聞くと野田さんは「いいや」と、首を左右に振った。
では一体どうするつもりだ。
あたしは徐々にイライラしてきた。
ハッキリと教えてほしい。
「彼女が俺に『返す』依頼をしてくれば手を出す事はできるが、そうじゃないから手を出す事もできない。幽霊を強制的に成仏させるのはとても危険な行為だ」
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