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一旦お店に戻って野田さんと一緒にゴミ捨て場へ行って……そう考えながらクルッと体の向きを変えた、その時だった。
「ワンッ!」
自分の家に似つかわしくない鳴き声が聞こえて来て、あたしは動きを止めた。
部屋のドアの前あたりに体が半分透けた真っ白な毛の犬が立っているのが見えた。
犬は赤い首輪をつけていて、しっぽを振っている。
「シロ……」
自然とあたしはそう呟いていた。
小学校の頃まで買っていたシロとその犬の外見が全く同じだったからだ。
犬は自分の名前を呼ばれて嬉しそうにあたしの足元へと駆け寄ってきた。
不思議と恐怖はない。
「お前、シロなの?」
身をかがめて犬へ向けてそう聞くと、犬は「ワンッ!」と鳴いて返事をした。
やっぱり、シロだ!
思わず抱きしめようと両手を伸ばすが、その手はシロに触れることなく、その体を通り抜けた。
「シロ……なんであたし、シロの姿が見えてるの?」
そう聞くと、シロは首を傾げた。
犬には難しい質問だったようだ。
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