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あたしはテーブルに置いてあるスマホを手に取ると、急いで野田さんに電話を入れた。
あたしから電話を入れるなんて初めての事かもしれない。
その事にふと気が付き、コール音が鳴る中妙に緊張してしまった。
――もしもし?
電話口の向こうから眠そうな、だるそうな野田さんの声が聞こえてくる。
電話のタイミングが悪かったワケではなく、野田さんはいつでもこんな声を出しているから大丈夫だ。
「もしもし、マオリです」
――あぁ。着信を見ればわかる。
それもそうか。
「あの、あたし死んだ飼い犬が見えるんですけど」
――……は?
少し間を開けて野田さんはそう聞き返してきた。
「小学生の頃に飼っていたシロが部屋にいます」
――……あぁ。で、恐怖心がある?
「いえ。シロは飼い犬だったから怖くないです」
――それなら大丈夫。きっとマオリちゃんを守っているんだ。
「あたしを?」
――そう。きっと、亡くなった当時からずっとマオリちゃんの近くにいたんじゃないかな? マオリちゃんに霊感が付いた事でその姿が見えるようになった。
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