第4話

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お湯につかりながらも、あたしはぼんやりとそんな事を考えていた。 野田さんに出会うまでは幽霊なんて見たことがなくて、野田さんと『返す』仕事をしている時だけ見る事ができていた。 でも、日常生活の中で幽霊を見たことも、感じたことも一度もない。 霊感というのは花粉症のようにある日突然訪れるものなのだろうか? そう思ったとき、今までずっと静かだったシロが「ワンッ!」と、一回だけ吠えたのだ。 あたしは驚いてシロを見る。 シロはジッと湯船の隣にある窓を見つめている。 窓はあたしの左手にあり、あたしはゆっくりとそちらへ視線を移動させた。 浴室の温度がスッと下がって行くのがわかる。 嫌な予感が胸の中を渦巻、これ以上見ちゃいけない。 と、体が感じ取っている。 しかし、あたしの視線はその人物を捕らえてしまった。 真っ白なワンピースを着て、長い髪の毛を1つに束ねている女性の姿を……。
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