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☆☆☆
翌日。
あたしは朝の早い時間に目が覚めた。
気分は随分よくなっていて、体を起こしてもふらつきはなかった。
パジャマのまま一階へ降りていくと、お母さんが朝ご飯を作っている途中だった。
「もう大丈夫なの?」
「うん。ありがとう」
あたしはそう言い、氷枕にしていた保冷剤を冷凍庫へ戻した。
そして、右手にあるドアを見つめる。
このドアの先には脱衣所があるんだ。
あたしはそっとドアノブに手をかけた。
昨日の女の幽霊を思い出し、ドクドクと心臓が跳ねている。
冷たい金属を手に感じながら、あたしはそっとどのドアを引いた。
キィ……と、小さく音がしてドアが開く。
自分の家なのにこんなにも警戒しているのは、初めての事だ。
そっと脱衣所の中を見回してみると誰もいなくて、フッと肩の力を抜いた。
今日は野田さんのところへ行って昨日の出来事を聞いてもらうつもりなので、顔くらい洗っておかなきゃいけない。
あたしは手早く洗顔をすると、すぐに脱衣所を出たのだった。
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