第1章

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半分ほど食べた親子丼から視線を上げると、野田さんは駐車場を歩いている1人の女性を見ていた。 赤いワンピースを来ていて、上品そうな美人だ。 スタイルもよくてスカートから覗く足がすごくセクシー。 女のあたしでもマジマジと見てしまうのだから、野田さんが思わず声を上げてもおかしくはない。 しかし次の瞬間、野田さんは車をおりてその女性の後を追いかけ始めたのだ。 「え、ちょっと……!?」 車内に取り残されたあたしは慌てて食べかけの親子丼を袋に戻し、車を降りた。 「の、野田さん……!」 後ろから声をかけると野田さんは「シッ!」と、人差し指を立てて見せた。 その表情は真剣そのものだけれど、女性に気づかれないように後を追いかける姿はストーカーだ。 一体どうしたんだろう? 知り合いかな? でも、知り合いなら普通に話しかければいいだけだもんね。
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