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☆☆☆
朝の早い時間の商店街は人の姿も少なく、寂しい物だった。
まだ朝の8時もまわっていないため、開いていないお店の方が多い。
それでもあたしは自転車を走らせて、いつものリサイクルショップの前で止まった。
入口には『閉店』の看板が出ていて、店内は暗い。
従業員用の入口へまわってみると、駐車場にトラックが置いてあるのが見えた。
「やっぱり、来てる」
あたしはそう呟き、自転車を置いて従業員用の入り口を開けた。
開けた瞬間涼しい風があたしの頬を撫でて、あたしは思わずその場で立ちどまってしまった。
中を確認してみると、野田さんが床に大の字になって寝息を立てているのが見えた。
しかし、それ以外に変わったところはない。
「エアコンがついている……」
そう呟き、あたしはエアコンへと向かって歩き出した。
昨日はあんなに悪臭があったりしたのに、今は正常に動いている様子だ。
「なんだ、マオリちゃんか」
気配に気が付いたのか、野田さんが目を覚ましてそう言った。
「あ、起こしちゃってごめんなさい」
「いや、いいんだ」
そう言い、大きな口を開けて欠伸をする。
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