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野田さんはそう言い、お味噌汁を美味しそうに飲んだ。
朝食を抜いて来たあたしは空腹感に負け、野田さんと同じようにインスタントのお味噌汁を作ることにした。
「エアコンについていた幽霊が、今度はあたしに付いて来たってことですか?」
「あぁ。もしくは……」
野田さんが少し考えるように天井へ視線を投げた。
お味噌汁を一口飲むと、お腹の中にジワリと広がって美味しかった。
インスタントでもなかなかいけるじゃん。
「元々マオリちゃんに会うために、その幽霊はエアコンについていたのかもしれない」
「……それって、どういう事ですか?」
「幽霊はもとからマオリちゃんに何か伝えたいことがあったってことだな」
あたしは野田さんの言葉に目をパチクリさせた。
幽霊があたしに伝えたい事?
お風呂で見た幽霊を思い出してみても、その顔に見覚えはなかった。
そんな幽霊が話なんてあるんだろうか?
「ちなみに、犬と女の幽霊以外には何か見た?」
「見てないです」
あたしが答えると、野田さんは1つ大きく頷いた。
「マオリちゃんの家からここへ来る間にも何十体という幽霊をすれ違っているはずなんだ。
それに気が付かないと言う事は、やっぱりその女の幽霊はマオリちゃんに会うために現れたんだろうな」
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