40人が本棚に入れています
本棚に追加
☆☆☆
幽霊の声に耳を傾ける事。
しかし幽霊は夜じゃないと出てこないから、こちらはどうしてもビックリしてしまう。
「お風呂、行ってくるね」
リビングでテレビを見ていたあたしは、そう言って立ちあがった。
「昨日みたいに長湯せずに、すぐに出てきなさいよ?」
お母さんが心配して声をかけてくる。
あたしは「はぁい」と、返事をして脱衣所へと向かった。
脱衣所にはあたしを待っていたかのようにシロがお座りをして待っていて、「ここにいたの」というと、「ワンッ!」と、一度だけ吠えて返事をした。
シロはパタパタとしっぽを振って喜んでいる様子だ。
あたしはシロに背中を向けて服を脱ぐと、そっとお風呂のドアを開けた。
中には誰もいない。
冷たい冷気もなくて、ひとまず安心する。
全裸の状態で幽霊が現れるのは、なんだか気まずい。
相手は女性だけれど知らない女性だ。
できれば一緒にお風呂に入ったりはしたくなかった。
あたしが湯船につかろうとした時、シロが昨日と同じように洗い場にお座りをした。
「シロ、お前はあたしを守ってくれてるの?」
「ワンッ!」
シロが逞しい顔立ちをして吠える。
「そっか。ありがとう」
最初のコメントを投稿しよう!