第1章

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商店街の奥へと進んでいくと小さなお店を見つけた。 そのお店は《リサイクルショップ》という錆びれた木製の看板がかかっていたが、ガラス窓の向こうは薄暗かった。 営業してるんだろうか? あたしはふとお店の前で立ちどまり、窓から中を覗き込んだ。 中に人がいる気配はない。 普段は通り過ぎてしまうお店だけれど、店の前に張られた《アルバイト募集!》のチラシが気になった。 羽葉高校(ハネハコウコウ)1年生の夏休みまであと一か月ほど。 それまでに少しアルバイトをしてお小遣いをためておこうかと、何の気なしに考えたのだ。 あたしは茶色木のドアの前に立ち、銀色のドアノブに手をかけた。 もしかしたら店の奥に誰かいるかも。 そう思い、ドアノブを回してドアを開けた。 ギィィと古びた音を立てながら重たいドアがどうにか開いた。 中へ一歩足を踏み入れた瞬間、埃っぽさに顔をしかめ、むせこんだ。 店の中天井に小さなオレンジ色の豆電球が1つついているだけで、奥の方は真っ暗だ。
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