第1章

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まさか野田さん、あの女性に一目ぼれをして一瞬にしてストーカーになっちゃったとか!? 普通ではありえなさそうな事でも、野田さんならあり得る気がするから不思議だ。 「の、野田さん。早まらないでください」 あたしは野田さんの腕を掴んでそう言った。 「早まる?」 「あの女性が綺麗なのはわかります。だけど野田さんの気持ちはきっと伝わりませんよ? だって見た目からして月とスッポンですから、相手にされるわけがないじゃないですか。あの人の服すごく高いブランド物ですよ? だけど野田さんのスーツ……それ、どうせ拾ってきたものでしょう? 経済力にも大差をつけられてるんですから、無理ですって」 野田さんをどうにか諦めさせようとして次から次へと思った事を口にする。 あたし、ここまで正直に話をしたのは生まれて初めてかもしれない。 だって、普通言えないでしょ? 月とスッポンなんて。 でもあたし、野田さんを正気に戻すために頑張るから! 「野田さんにはきっと野田さんに似合う女性が見つかります。 たとえばゴミ捨て場でゴミを拾っている老婆とか、駅のホームでゴミをあさっている老婆とか」
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