第4話

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☆☆☆ 幽霊は夜現れる。 ふと目が覚めたあたしの目の前に昨日の女性の幽霊がいて、あたしは納得した。 まだ半分寝ぼけているからか、恐怖心は不思議となかった。 女性はあたしの体の上で正座をしているため、あたしの体はピクリとも動かすことができなかった。 よく聞く金縛りとはこういうものなのだろうと、やけに冷静に判断していた。 そしてふと思い出した。 そう言えば野田さんからもらったブレスレットとずっと付けたままにしている。 恐怖心が薄いのはこれのおかげなのかもしれない。 ぼんやりとそんな事を考えていると、女性の顔がグッとあたしに近づいてきた。 エアコンもつけていないのに冷たい風が頬を撫でる。 「思い……出させて……」 女性がか細い声で、確かにそう言った。 思い出すって、なにを? そう聞き返そうと思ったが、言葉は喉の奥に張り付いて出てこなかった。
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