第4話

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☆☆☆ 野田さんは昨日と同じように事務所の床で寝ていた。 野田さんには本当にアパート住まいなのだろうか? 実は家なんてなくてお店に寝起きしてるんじゃないの? そんな事を思いながらあたしは事務所に足を踏み入れた。 寝むっている野田さんの横を通り、棚からインスタントのおみそ汁をとりだして勝手に作りはじめる。 今朝も起きてすぐにここへ来たから、お腹はペコペコだ。 棚の中にあったシリアルも勝手に拝借して、そのままポリポリとお菓子のように食べ始めた頃、ようやく野田さんが起き出した。 「なんだよ、泥棒かと思うだろ」 「泥棒ならこんなお店選んで入ったりしませんよ」 あたしはそう返事をしておみそ汁を飲んだ。 シリアルとおみそ汁のコラボが口の中でできあがる。 牛乳を使っていないから、そんなに悪くないかもしれない。
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