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「マオリちゃんは失礼な事をスラッと言う子だね」
「何を今さら」
あたしはそう返事をして笑った。
「俺、一応年上なんだけど」
「わかってます。年上のリサイクルショップの店長で彼女がいない事くらい、知ってます」
「一言多い」
ムッとした表情であたしに近づいて来て、あたしの右手を見た瞬間顔色を変えた。
「気が付きました?」
「幽霊の仕業か……」
「さすが野田さんですね。その才能だけは認めますよ」
あたしはそう言い、乾いた拍手を送った。
「幽霊は霊感が弱く意思の疎通が難しい相手には、こうしてメッセージを残していくんだ」
野田さんはあたしの右手を握りしめてそう言った。
手の甲の文字を見るためだとわかっていても、思わず顔をしかめてしまった。
野田さんの手は細すぎてゴツゴツしているから、骸骨に触れられているような気分になるんだ。
「この名前に聞き覚えは?」
そう聞かれて、あたしは左右に首をふった。
「全く知りません」
「東能って名字はこの辺ではそんなにないはずだ。探そうと思えば探す事ができる」
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