40人が本棚に入れています
本棚に追加
確かに野田さんの言う通りだった。
東能という名字を聞いた事は今まで一度もないから、あっても数件だけだと思う。
「探しに行ってみるか」
「探すってどこをですか?」
「相手は幽霊だから、どこかにお墓があるはずだ。
それに死んだ飼い犬が見えるようになった事も絡めて考えてみると、行くべき場所はマオリちゃんがわかってるんじゃないか?」
野田さんの謎かけのような言葉に一瞬たじろくが、すぐにある場所が脳裏に浮かんできた。
最近では全く行かなくなった、山の奥の光景が蘇ってくる。
「シロが死んだ時、山奥のお墓の近くに埋めました」
「東能リナという女性の墓がそこにあるかもしれない」
「だからシロの姿が見えるようになったんですね」
「そう言う事だろうな」
すべてはあの女性の願いを叶えるため、必然的に起こっていたのだ。
「行きましょう」
朝食を食べ終えたあたしはそう言い立ちあがったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!