第1章

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「マオリちゃん、さっきから君どれだけ失礼なんだよ」 「失礼は承知です! だけど野田さんがストーカーになって相手の女性を殺してしまったら都思うと……」 考えただけでも涙が出てくる。 殺人犯に500円の親子丼をポイントで奢ってもらったなんて知られたら、あたしもう生きていけない! 「泣くほどの事じゃない。今は仕事のターゲットを追いかけているだけだ」 「ターゲット?」 野田さんの言葉にあたしの涙はひっこんだ。 「そう。俺の仕事は外仕事がメインだと言っただろう? これ今回のターゲットだ」 野田さんはそう言い、スーツの内ポケットから一枚の写真を取り出した。 そこに写っていたのはさっきの女性で、友達と思われる女性3人でピースサインをしている。 写真の中で彼女が着ている服はやはり高級そうなワンピースで、野田さんとの格差を感じさせた。 「彼女の名前は金崎仁美(カナザキ ヒトミ)。23歳のOLだ」 「野田さん、いつからですか?」 あたしは写真から顔を上げて野田さんを見た。 「なにがだ?」 「いつから彼女のストーカーだったんですか? こんな写真まで入手して、自分の気持ちが伝わると本当に信じているんですか?」
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