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危うくこけそうになったのをなんとか踏ん張ってたて直した。
なにがあったのかと草をかき分けて見てみると、そこには小さな墓石があったのだ。
あたしは思わず息を飲み、「野田さん!」と、声をかけた。
「こんな所に墓石が……」
野田さんはその場にしゃがみ込み、雨風で汚れた墓石の土を手ではらった。
するとそこに『東能リナ』という文字が刻まれているのが見えたのだ。
「シロのお墓のすぐ隣にあったなんて……」
その事実を初めて知ってあたしはショックを受けた。
当時はなかったお墓なのかもしれないが、申し訳ない気分になる。
「享年22歳だ。まだまだ若い女性だったんだな」
野田さんは小さく呟くようにそう言った。
「シロと彼女のお墓は隣同士と言う事で意気投合して、あたしの前に現れたんでしょうか?」
「たったそれだけの理由で出てくるとは思えないな。マオリちゃんはもっと密にこの女性と関わっていると考えた方がいい」
野田さんはそう言い、腰をあげた。
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