第4話

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☆☆☆ シロはトラックの前を走っていた。 ずっと走っているのではなく、現れては消えて、現れては消えてを繰り返しながら進んでいく。 その内山をぬけて大きな通りへ出ると、小さなお寺が目に入った。 シロは迷う事なく、その鳥居をくぐって行く。 「このお寺に見覚えは?」 「ないです」 あたしは野田さんの質問にそう返事をした。 この山を越えてきたことは今まで一度もないかもしれない。 「とにかく、行ってみよう」 野田さんは3台ほどしか車を停めるスペースのない駐車場にトラックを停車させた。 車を下りると、シロが石段の途中で立ちどまり、早く来いというように待っているのが見えた。 細く長い石段を上から見上げると、漆黒の闇の中へと引きずり込まれそうな感覚になる。 「この上にはちゃんとお寺があるんですよね?」 あたしは思わず野田さんにそう聞いていた。 あまりにも不気味な石段なので、上ることを躊躇してしまう。 「あるだろう。たぶんな」 野田さんはそう言って肩をすくめると、あたしを追い越して歩き出したのだった。
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