第4話

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☆☆☆ この石段は一体いつまで続くの? と、途方に暮れそうになった時、前方に建物が見えてホッと胸をなで下ろした。 狭くて急な石段が続いていたため、よほど近づかないと建物が視界に入らなかったのだ。 ようやくたどり着いたと感じた瞬間、足から力が抜けるような感覚があり、あたしはグッと踏ん張った。 一度こけたら下まで転げ落ちてしまうだろう。 「さすがに、少し疲れたな」 前を歩いていた野田さんがふぅと息を吐き出してそう言った。 その背中には汗をかいていて、シャツがぺたりと肌に張り付いていた。 あたしもきっと同じようになっていることだろう。 どうにか最後まで登り切ったあたしは、膝がガクガクしていることに気が付いた。 普段から自転車には乗っているものの、この石段を休まず登りきる力はまだまだ乏しい。 「すごいですね」 あたしは自分の膝をさすりながら、お寺を見上げた。
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