40人が本棚に入れています
本棚に追加
☆☆☆
この石段は一体いつまで続くの?
と、途方に暮れそうになった時、前方に建物が見えてホッと胸をなで下ろした。
狭くて急な石段が続いていたため、よほど近づかないと建物が視界に入らなかったのだ。
ようやくたどり着いたと感じた瞬間、足から力が抜けるような感覚があり、あたしはグッと踏ん張った。
一度こけたら下まで転げ落ちてしまうだろう。
「さすがに、少し疲れたな」
前を歩いていた野田さんがふぅと息を吐き出してそう言った。
その背中には汗をかいていて、シャツがぺたりと肌に張り付いていた。
あたしもきっと同じようになっていることだろう。
どうにか最後まで登り切ったあたしは、膝がガクガクしていることに気が付いた。
普段から自転車には乗っているものの、この石段を休まず登りきる力はまだまだ乏しい。
「すごいですね」
あたしは自分の膝をさすりながら、お寺を見上げた。
最初のコメントを投稿しよう!