40人が本棚に入れています
本棚に追加
「お二人とも、東能リナさんのお墓には行かれたんでしょう?」
「はい」
「あの辺の墓はすべてこの寺で管理をしています。しかし、いつ誰がどういった経緯で東能リサさんの墓を建てたのか、全く残っていないんです」
「残っていない……?」
あたしは眉を寄せてそう聞き返した。
「そうです。あの場所は本来ただの山で墓を作る場所ではありません。ただ、すぐそばにうちの管理している墓があると言う事で、気にはかけていたんですが……」
そう言い、お坊さんはあたしに紙を手渡してきた。
それにはどこかの住所が書かれている。
県内だけど聞いたことのない地名だ。
「いろいろ調べた結果、それだけがわかったんです」
「この住所はなんですか?」
「東能リナさんが最後まで暮らしていた家の住所です」
そう言われ、あたしと野田さんは顔を見合わせた。
「これくらいしか私にできることはないですが、なにか困った時はまたおいでください」
お坊さんはそう言うと、シロの頭を軽く撫でて奥へと消えて行ったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!