第4話

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☆☆☆ 「東能さんって何者なんだろう……」 トラックに揺れながらあたしはそう呟いた。 「本当に、何も思い出さないのか?」 野田さんが真っ直ぐ前を見て運転しながらそう聞いてくる。 あたしは何度も東能という苗字に記憶を巡らせていたけれど、誰一人として思い出す顔はなかった。 「なにも……」 あたしはそう言って左右に首をふった。 いや、だからこそ『思い出して』と言っているのかもしれない。 「住所だとこの辺だな」 車を1時間ほど走らせた場所で野田さんがそう言った。 一旦路肩に停車して住所を確認する。 スマホのナビに設定した場所はたしかにこの付近を指している。 しかし周りは田んぼと山と川しかなく、どこにも民家が見当たらないのだ。 「もしかして、もう取り壊されてしまったとか?」 あたしは呟く。 お墓を見る限り、東能さんが亡くなったのは15年も前の事らしく、生前の家がなくなっていても不思議じゃない年月が経過していた。
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