第4話

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☆☆☆ 街の市役所に行くと、東能昌史さんについてのデータが残っていた。 奥さんのリサさんが亡くなった翌年にこの街を去っているようだ。 しかし個人情報取り扱いのため、その後の住所などは教えてもらうことができなかった。 ちゃんとした事情があるならともかく、幽霊が出てきて怖いから。 なんて理由は口が裂けても言えなかった。 でも……。 役所の人が確認していた個人情報の紙を思い出して、あたしはぼーっとしていた。 チラリと見えた東能夫妻の子供の名前に見覚えがあったからだ。 「どうした?」 車に戻ってからも外の景色を眺めるばかりで何も話そうとしないあたしに、野田さんは心配そうに声をかけてきた。 「わかったかもしれないんです」 「なにが?」 「東能さんが、あたしの前に現れる理由が……」
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