41人が本棚に入れています
本棚に追加
☆☆☆
麻葉が麦茶を飲んで落ち着いてきているのを見て、あたしは東能リサに似ていると感じていた。
役所で偶然見えた東能リナの子供の名前。
それが、友人である麻葉の名前だったのだ。
麻葉には両親がいなくて親戚の家で暮らしている。
それらを照らし合わせて考えると、幽霊があたしの前に現れた理由は麻葉と友人だからだとしか、考えられなかった。
「ごめんね、今日もバイトなんでしょ?」
そう聞くと、麻葉は左右に首を振った。
「ううん。今日は休みだったから大丈夫だよ」
「そっか……」
どう話題を切り出していいのかわからず、あたしは天上に視線を写した。
その瞬間、東能リナさんの顔が目の前にあってあたしは思わず椅子から転げ落ちてしまった。
「マオリ、どうしたの!?」
突然椅子から転げ落ちたあたしに麻葉が驚いている。
「ご、ごめんごめん。バランスを崩しちゃって」
苦しい言い訳をしながら椅子に座り、天井付近に漂っている東能リナさんをチラリとにらみつけた。
最初のコメントを投稿しよう!