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野田さんがエアコンを拾ったことろから始まり、東能リナさんが昔住んでいた場所まで言ってきたことを話すと、麻葉は驚いたように目を見開いていた。
「確かに、あたしの元の苗字は東能だって聞いたことがある。今の苗字は育てられた親戚の苗字を名乗っているから……」
「そうだったんだ……」
「でも、どうして今頃になってお母さんが出てきたんだろう」
麻葉は混乱したようにそう言った。
亡くなった母親が今頃になって出てきた理由はハッキリとはしていない。
「わからない。でも、『思い出して』とか『連れて行って』って、言ってるの」
「思い出して……?」
麻葉は首を傾げてあたしを見た。
麻葉にもその言葉に思い当たる出来事はないようだ。
「少し気になったんだが……」
今まで黙っていた野田さんがそう言った。
「君の父親はどうなった?」
「え……」
麻葉の顔色が変わる。
「東能昌史さんだったか? 彼は今どこにいる?」
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