第4話

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「……わかりません」 麻葉は小さな声でそう返事をしてうつむいた。 なにか、聞いてはいけない事のようだ。 「リナさんが事故死した後、君は父親と一緒に引っ越しをしたんじゃないのか?」 「たぶん……そうなんですけど、気が付けばあたしは今の親戚の家で育てられていて、父親の話はあまり聞かされてこなかったんです」 「それは妙な話だな……」 野田さんは腕組みをして、浮遊している東能リナさんへ視線を向けた。 「あ、あの、そこにお母さんがいるんですか!?」 「ん? あぁ、いるよ」 野田さんが頷くと、麻葉が空中へ視線を向けた。 見えない母親を探して目を凝らしている。 「君のお父さんについて、君自身は何も知らないのか?」 野田さんにそう質問されて、麻葉は空中から視線を戻した。 父親の話はあまりしたくないのか、顔色が悪い。 「麻葉、無理しなくていいよ?」 「ううん、大丈夫。あたしのために2人が色々と調べてくれたんだもん。あたしもいつまでも逃げてちゃダメなんだと思う」 麻葉そう言うと、スッと息を吸い込んで真っ直ぐに野田さんを見た。
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