第1章

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机に置いたハタキを見ていると、自然と頬が緩んで笑顔になる。 野田さんという今まで出会ったことのないタイプの人に出会って、少し感覚がおかしくなってしまったのかもしれない。 そんな事を思いながら、あたしは給料袋を開けた。 そして中身を確認して……唖然としてしまった。 「1万4千円!」 そう、それほどの大金が封筒に入れられていたのだ。 店の掃除は確かにしたけれど、これほどの大金をもらえるような事はしてない。 あたしは封筒の中身を再度確認した。 すると中にはメモが入っていて、それには野田さんの携帯番号が書かれていた。 これって、登録しとけってことでいいのかな? あたしはそう思い、スマホを取り出してその番号を登録した。 「はぁ……またあのお店にいかなきゃ」 ハタキも持って帰ってしまったし、こんな大金も受け取れない。 あたしはため息を吐きながらも心のどこかではそれを楽しみにしていたのだった。
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