第1章

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店に足を踏み入れたことを少し後悔しながらも、あたしは周囲を見回した。 四方には天井まで届く棚があり、その中には所せましといろんなものが置かれている。 入って右手にはオルゴールだったりぬいぐるみだったり、可愛らしいものが沢山あるが、左手にはドクロの灰皿だったりゾンビの仮面だったり見ているだけでゾクッとするものが置いてある。 一応仕訳をして置かれているというのは分かるが、ドクロの灰皿の中に河童の置物が入っていたり、クルクル回るオルゴールの上に造花が置かれていたりと、かなり乱雑だ。 しかも、それもこれも埃をかぶっていて、手入れされていないのが見て分かった。 やっぱりここでバイトをするのはやめておこう。 さっきからお客さんだって1人に入ってこないし。 そう思い、回れ右をした時だった。 店の奥でカチャッとドアが開く音がきこえてきて、あたしは振り向いた。 それと同時にお店の中に入ってきた男性と目が合った。 男性は20代前後に見えて、ヒョロリと背が高くかなり細い。 あたしと目が合った男性はビックリしたように目を見開き、それから「あ……お客さん?」と、聞いてきた。 「あ……いえ……」 どうやらこの男性がお店の店員さんのようで、あたしは一瞬ためらったものの、バイトのチラシを見たことを伝えた。
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