第1章

33/70
前へ
/250ページ
次へ
☆☆☆ いつ倒壊してもおかしくないトラックで冷や冷やしながらデパートへ向かうと、駐車場は昨日よりもたくさんの車が停まっていた。 「今日はなにかイベントでもしてるんですか?」 そう聞いてみると、「20ポイントデーだ」と、野田さんは答えて入口の前に建てられている旗を指さした。 たしかにそこには20ポイントデー!と、大きく赤い文字で書かれている。 「だからこんなに車が多いんですね」 そう言ったとき、野田さんがなにも言わずに車を下りた。 もう昨日の女性が現れたのかと思って慌てて後を追いかけたが、野田さんの前方に女性の姿はない。 でも、あたしには気づけないけれど、野田さんはしっかり彼女を見つけているのかもしれない。 そう思い、黙って野田さんの後に続いて店内へと向かった。 店の中はお客さんに賑わっていて、食品レジには長蛇の列ができている。 この中から彼女1人を尾行なんてできるんだろうか? 人ごみに紛れてしまったら、すぐにでも見失ってしまいそうだ。 そう思っていると、野田さんの歩調が早くなった。 ズンズン進んでいく野田さんを追いかけるのに必死で、あたしはいろんな人と肩をぶつけ合った。 人の間をスイスイと縫い、まるで泳ぐように進んでいく野田さん。 あたしは息を切らしてその後を追う。
/250ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加