第1章

35/70
前へ
/250ページ
次へ
「だ、だって。いきなり車から降りるから……!」 「あぁ。この卵、昼1時からのタイムセール品なんだ。早くしないと売り切れるだろ?」 そんな……! あたしは野田さんの卵の為に走らされたわけ!? 唖然とすると同時にどっとつかれが押し寄せてくる。 無駄な体力を消耗させられて、怒りが湧いてくるのがわかった。 「あ、ポイントカードは一枚しかないから、俺が先にレジを通ってからマオリちゃんに渡すから」 そう言う野田さんを無視して、あたしは隣のレジに並んだ。 「マオリちゃん、それじゃカードにポイントが!」 慌てる野田さんを急かすレジの店員さん。 「野田さん、早くレジ終わらせないと、後のお客さんが怒ってますよ?」 あたしがそう指摘すると、野田さんは諦めたように肩を落としたのだった。
/250ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加