第1章

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「マオリちゃんは幽霊を見たことがある?」 「ないです」 あたしはキッパリと否定する。 幽霊とかUFOとか、自分の目で見たことのないものは一切信じないようにしている。 ホラー映画やお化け屋敷は好きだけど、すべて作り物だと割り切って見ている。 「だろうね。マオリちゃん、そんなタイプだね」 ハッと小さく息を吐き出してそう言う野田さんに、ムッとする。 なんだかバカにされたように気がするんだけど。 「野田さんは幽霊を信じてるんですか?」 「信じるも何も、俺は見える人だからね」 ニコッと笑ってそう言った野田さん。 「見えるって……幽霊が見えるんですか?」 「そう。その能力を使った仕事をしてる」 「幽霊に依頼されて相手を見張る仕事ですか?」 「見張るのとは少し違う。返すんだよ」 「返す……?」 あたしは更に首を傾げた。
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