第1章

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やっぱりすごくお金持ちなのか、出たり入ったりを繰り返すたびに手に持つ紙袋は増えて行く。 しかも、どれもこれもブランド物ばかりだ。 見ている内にだんだんあたしもブランド物に惹かれ始め、大人になったらあんな風に買い物をしてみたいなぁ。 なんて、思い始めた。 それほど、彼女の買い物は豪快だったんだ。 彼女は好きな物を好きなだけ買うと、ようやく満足したようにお店を出た。 真っ直ぐに赤いスポーツカーへ向かって歩いていく女性。 「すっごい、カッコイイなぁ……」 あたしは思わずそう呟いた。 車に乗ってサングラスをかけるその姿は、峰富士子のようだ。 「尊敬している場合じゃない。車を追いかけるぞ」 野田さんにそう言われ、あたしたちは慌ててボロトラックへと戻った。 だけど、どう見ても女性の車の方がスピードが出る。 このトラックで尾行を続けるのは無理がある気がする。 それでも、あたしたちにはこの車しかないのだ。 仕方なく乗りこみ、彼女のスポーツカーを追いかけ始めた。
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