第1章

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「少し頑張ると燃料があっという間に切れる」 「へ?」 野田さんの言葉にあたしはガソリン計を確認した。 お店を出る時に満タンになっていた針は下の方へ傾き、すでに赤ランプが付いている。 「さて、とりあえず燃料を調達してこないと帰れない」 「え? ガソリン乗ってないんですか?」 あたしはそう聞きながら荷台を確認する。 そこには大きな段ボールが何箱か積まれているのが見える。 「乗ってない。いままで一度もこのボタンを押した事もなかったしなぁ。まさかこんなに早く燃料が切れるとは思っていなかった。知ってたらガソリンスタンドに寄ったのになぁ」 野田さんはそう言い、ボリボリと頭をかいた。 あまりの無計画さにあたしは呆れて言葉もでない。 「せっかく卵を格安で手に入れたのに、これじゃ意味がなかったなぁ」 ボソボソと文句を言いながら車を降りて近くのガソリンスタンドへと向かう野田さん。 その姿を見ながらあたしはため息を吐き出したのだった。
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