第1章

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☆☆☆ どうにかガソリンを入れて走れる状態になったトラックの中、あたしと野田さんは先ほどの女性が大きなゴミ袋を2つ引きずるようにしながら持って出てくるのを見ていた。 マンションの向かいにあるゴミ捨て場に重たそうなゴミ袋を置いて、そそくさと部屋へ戻って行く。 「すごい量のゴミだな」 野田さんが目を見開いて呟く。 「結婚していて家族分のゴミなんじゃないですか? それか、何週間分かためておいてまとめて出したとか」 「彼女が未婚だということはご両親から聞いている。それに、これほどのゴミを毎週3回は出しているから心配なのだという事もな」 1人暮らしで毎週3回こんな量のゴミが出るというのは確かにおかしい。 一体どんな生活をしているのか、少しだけ覗いてみたくもなる。 「さて、じゃぁ覗いてみようか」 野田さんはそう言い、ドアを開けた。 「え、さすがにそれはまずいんじゃないですか?」 あたしは慌てて野田さんのスーツを掴んだ。 「覗かない事には仕事ができないだろ」 「でも、ここのマンションはセキュリティも万全そうだし、簡単に入る事はできませんよ!?」
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