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「マオリちゃん、君はさっきからなんの話をしてるんだ?」
あたしにスーツを掴まれた状態で野田さんが呆れた顔をした。
「え? だってさっき除くって……」
「誰がマンションに入ると言った?」
「違うんですか?」
てっきり彼女の私生活を覗くつもりなのだと思っていたあたしは、野田さんから手を離した。
「覗くのは彼女の部屋じゃない。こっちだ」
野田さんはそう言い、つい先ほど彼女が捨てて行ったゴミ袋を指さした。
「ゴミ……?」
「そうだ。さぁ、行くぞ」
野田さんは頷き、車を下りてテクテクとゴミ捨て場へ向かう。
ちょ、ちょっと待って!
あたしは周囲に人がいないのを確認して、慌てて野田さんを追いかけた。
「ゴミだってダメじゃないですか!」
ゴミ袋を開けて中を確認している野田さんに小声でそう声をかける。
「これが今回の『返す』物なんだよ」
そう言い、野田さんはあたしに袋の中身を見せた。
いけないと思いながらも、好奇心からその中身を見てしまう。
するとそこには昨日彼女が来ていた真っ赤なワンピースや、まだ汚れていないバッグなどの高級品が詰め込まれていたのだ。
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