第1章

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自室が2階にあってロープがない場合は……飛び降りる。 クラスメートたちがそう言い、『無理だから!』と誰かが突っ込んだりして爆笑していたことを思い出す。 そう、無理だ。 飛び降りるなんて危険だし、音がしてバレてしまう。 でも……あたしは上半身を起こして窓を見た。 外には電信柱が見える。 ジャンプしてあれをつかむことができれば、安全に音も立てずに外へ出る事ができる……。 スマホで時間を確認すると12時が回っていた。 床に耳を付けて一階の音を聞いてみると、物音は何も聞こえてこなかった。 もう2人とも眠ってしまったんだろう。 あたしは用意してあったズボンと紺色のTシャツ姿に手早く着替え、運動靴をはいた。 外に出ても目立たないよう、夜に溶け込む色を選んだ。
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