第1章

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そう思った瞬間、疑問が浮かんだ。 この事務所には冷蔵庫は置かれていなかった。 それなのにこのお茶はちゃんと冷えている……。 なんだか嫌な予感がして事務所内を見渡してみると、昼間にはなかった冷蔵庫と電子レンジが置かれている事に気が付いた。 しかも両方ともかなり古びたものだ。 「また拾って来たんですか!?」 水分補給をして元気が出たあたしはさっそく野田さんにそう問い詰めた。 「あぁ。マオリちゃんもバイトとして入ってくれた事だし、昼食を食べるスペースをちゃんと作ろうと思ってね」 あたしは怒っているというのに野田さんは全く悪びれた様子は見せない。 それ所か嬉しそうに言うその表情にあたしは怒る気が失せてしまった。 一応はあたしの為を考えての行動だし、お茶はちゃんと冷えていたし。 そう思い、肩を落とす。 「それで、その格好はなんですか?」 仕方なく、スルーしようと思っていた野田さんの服装を指摘することにした。
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