第1章

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ヒールになれていないあたしでも足が痛くならないように、太めのヒールに足を固定するバンドが付いている。 あたしはそれに履き替えて、もう一度鏡を確認した。 身長が高くなることでさっきよりもすこしは様になっているようにも見える。 うん。 まぁいっか。 なんだか急に夜の女になったような気分で、なんだかくすぐったい。 「できました……」 おずおずとカーテンを開けると、夜食を食べ終えた野田さんがこちらを見て目を丸くした。 「いいね! 想像以上に似合ってる!」 野田さんはそう言いパチパチと拍手を始めた。 そんなに褒められると更に照れてしまう。 あたしは視線を落とし、床を見つめた。 「いやぁ、本当によく似合う! ブラボー! 俺のチョイスサイコー!!」 昼間とは違ったテンションで変態っぷりを発揮する野田さんに、あたしのテンションは下がって行く。
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