第1章

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真夜中に野田さんと2人でなにやってるんだろう……。 「で、こん格好をする理由はなんなんですか?」 冷静になった頭であたしはそう訊ねた。 「ん? 派手な格好をしておかないと闇にまぎれて連れて行かれちゃうからね」 ニコニコと上機嫌なままそう言う野田さん。 「連れて行かれるって……」 「もちろん、幽霊に」 躊躇なくそう言い切った野田さんに、あたしは返す言葉がなかった。 「夜中に暗い格好をして闇にまぎれているとね、幽霊たちが寄ってきやすいんだ。囲まれれば、そのまま霊界へと連れて行かれる時もある」 「はぁ……」 「今から行く場所には100%幽霊がいる。だからできるだけ明るい格好をして行動をするんだ」 「でも、今から会う霊って依頼者さんですよね? 悪さはしないんじゃないですか?」 そう聞くと「マオリちゃん、君はいいところに気が付くね!」と、パチンッと指を鳴らした。 なんだかいちいち腹の立つ態度だ。 「確かに依頼人の幽霊は悪さをしない。でも、幽霊がいる場所には他の幽霊たちも寄ってきやすいんだ。この格好に着替えるのは浮遊霊たちから身を守るためなんだ」 なるほど。 なんとなく、言いたいことはわかってきた。
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