第1章

65/70
前へ
/250ページ
次へ
☆☆☆ 部屋の中は薄暗かった。 入ってすぐ廊下があり、その壁には大きな絵が飾られている。 まっすぐ進んでいくとリビングダイニングに出て、高級そうな白いソファの上には洋服やアクセサリーが乱雑に放り投げられていた。 その数は異常なまでの多さで、ソファに座るスペースはなかった。 もしかして彼女は片づけられない人なんだろうか? そう思ったが、流しなどは綺麗に掃除されている。 単純に物が大量に溢れているだけのようだ。 リビングダイニングをある程度確認した野田さんは、右手にあるドアに手をかけた。 そこはおそらく寝室だ。 そう思って野田さんの後ろから中を覗くと、大きなベッドが目に入った。 そして、その上で寝息を立てている女性の姿も。 しかし、部屋の床には沢山のバッグや靴が散乱していて、どれも新品に近い状態なのにかなり雑に扱われているのがわかった。 「金崎仁美さんは買い物依存症なんだ」 「買い物依存症……?」 テレビで聞いたことのある言葉だった。
/250ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加