第1章

66/70
前へ
/250ページ
次へ
買い物を我慢することでストレスを発散しているうちに、エスカレートしていき、欲しい物を手に入れなければ日常生活に支障が出てくるのだそうだ。 確かに、彼女を見ていればそうかもしれないと思えてくる。 「ご両親からは、買ってすぐに捨てた物たちをすべて返し、自分自身が買い物依存症なのだと理解させてほしいという依頼を受けている」 「だからゴミを拾ってたんですね」 ようやく理解できてあたしは頷いた。 と、そこであたしたちの話し声に気が付いた彼女が寝返りうち、目を開けた。 目を覚ました彼女を視線がぶつかる。 あ、やばい。 そう思った瞬間、野田さんが動いていた。 野田さんは光の速さで彼女のベッドまで移動すると、その口を手でふさいだのだ。 寝起きの……金崎さんは驚いて目を見開き、それでもなんとか抵抗を試みている。 誰がどう見ても犯罪現場だ。
/250ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加