第1章

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☆☆☆ そして、翌日。 あたしは早起きをして近くのコンビニで履歴書を買って戻ってきていた。 今日は学校が休みだから何時でもあのお店に行くことはできるけれど、なるべく早い方がいいと思ったのだ。 「丁寧な文字でゆっくりね」 お母さんの言葉にあたしは頷く。 履歴書を書くのは生まれて初めてで、テスト用紙に回答を書いていくよりもずっと緊張した。 文字が斜めにならないよう鉛筆で線を引いた上に自分の名前を書いていく。 西岡マオリそう書くだけで手のひらには汗が滲んでいた。 「こんな感じでいいのかな?」 時間をかけてどうにか最後まで書いて、お母さんに確認してもらった。 「うん。いいんじゃない? 受かった時はちゃんと学校には届けを出さなきゃダメよ?」 「わかってるよ」 あたしは頷いた。 それに、アルバイトを始めるかどうかはまだわからない。 考えれば考えるほど怪しいお店だし、時給の提示がなければあのまま帰っていただろう。 あたしは履歴書を封筒に入れて丁寧にノリで封をした。 「どんな服で行くかも決めなくちゃ」 そう呟き、あたしは自室へと向かったのだった。
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