第二話

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あたしが奇妙なリサイクルショップの野田さんと出会ってから一週間ほどが経過していた。 買い物依存症の女性をありえない方法で救った野田さんにほんの少しだけ関心が出てきてはいたけれど、やっぱり夜中に抜け出したりするようなアルバイトはできなくて、今日こそお給料を返しに来ていた。 従業員入口の近くに自転車を停めて、軽くドアをノックする。 駐車場にいつものトラックは停まっているけれど、中から返事はない。 いないのかな? そう思いながらドアを開けてみると、野田さんは椅子に座って何かを熱心に見ていた。 今まで見たことのない野田さんの真剣そうな雰囲気に、声をかけるのが申し訳ない気分になり、あたしはそのまま事務所へと足を踏み入れた。 あたしが着たときはテーブルと椅子とロッカーしかなかったけれど、ここ一週間ほどでいろいろなものが増えてきていた。 冷蔵庫に電子レンジ。 小型テレビにエアコン。 しかもこれらはすべてゴミ捨て場から拾って来たものなのだから、さすが野田さんだと感じる。 今のところ邪魔にはなっていなし、どれもまだ稼働しているので文句は言えない。
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